LR2遅延対策入門 alpha 6版

最終更新:2015/07/31
文責:Stairwayの中のやつ

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はじめに

「遅延」それは音ゲーマーを悩ます事象です。
本記事では、基本的な設定はもちろん、誤解されがちな設定も含めた遅延対策方法を記載します。

目次

本記事は、以下の三本立てとなっております。
  1. 描画遅延対策
  2. 音遅延対策
  3. 入力遅延対策

1.描画遅延対策

LR2の描画遅延は以下の要素から成り立っています。 それぞれ潰しましょう。

1.1.GPUによる遅延

GPUの設定により、通常では3フレームの遅延が発生します。
この3フレームというのが曲者で、垂直同期ONとOFFでは劇的にその長さが違います。
この遅延を解消する方法は以下を参照してください。GPUごとに手順が違います。
どのGPUでも設定値0だと表示がガタつきますので、最低でも1をお勧めします。

GeForce:レンダリング前最大フレーム数
参考URL http://ff2400.jp/Column/game/Mftra/Mftra.html

Radeon:FlipQueueSize
参考URL http://cypH2r.blog129.fc2.com/blog-entry-28.html

Intel:????

1.2.出力モニターによる遅延

1.2.1.(SDブラウン管以外の場合)

この項目でどれだけの遅延が解消されるかは、モニター側のスケーリング速度に依存します。
たいていの場合、モニター側でスケーリングするよりも、GPU側でスケーリングするほうが圧倒的に速いです。

GeForce:アスペクト比固定拡大
参考URL http://swordfish.s53.xrea.com/2010/05/04/p918/

Radeon:GPUスケーリングを有効にする
参考URL http://d.hatena.ne.jp/clearorzhm/20090416

Intel:ディスプレイ>一般設定>スケーリング
参考URL http://blog.livedoor.jp/pangya_kaorin/archives/1421852.html

1.2.2.SDブラウン管の場合

特になし。

1.3.補講:遅延以外の描画に関する事項

遅延には関係ありませんが、描画周りでつまづくアレコレについての解決方法など。

1.3.1.フルスクリーンとAero(Windows Vista/7)

「Windous VistaまたはWindows7のとき、LR2をフルスクリーンでプレイするためにはAero切りが必須!」
なんてことを時々見かけますが、これは誤りです。
LR2プレイ時のみAeroが切れる設定にすればよく、それは以下の手順で可能です。
  1. 「LR2body.exe」を右クリックしてプロパティを開く
  2. 「互換性」タブをクリック、「デスクトップ コンポジションを無効にする」にチェックを入れる
  3. 「OK」ボタンで確定
これでAeroは切らずに、フルスクリーン化することができます。

1.3.2.RadeonとHDMIとGPUスケーリング

RadeonでGPUスケーリングを行い、HDMIでモニターに接続すると、
全画面にはなるけれど、画面より小さいという問題が発生するかと思います。
Catalyst Control CenterでScaling Optionsを0%に設定するわけですが、
これだけでは不十分で、解決しないということもあるかと思います。
きちんと修正するための、具体的な手順を以下に示します。
  1. Catalyst Control Centerを開き、ディスプレイマネージャからHDMI接続しているモニタの解像度を640x480に変更
  2. 左部ツリーから、対象のモニタ設定を展開し、「Scaling Options」を0%に設定
    ※この時、GPUスケーリングの設定も同時に行うと良いでしょう
  3. 「Apply」ボタンで適用
設定後、解像度は元に戻していただいて大丈夫です。

1.3.3.互換モードと遅延(Windows 8)

以下はWindows8 Pro(かつ私の環境)での内容です。
※Windows 10では解消されています。
LR2のAuto Adjustにて複数回検証した結果となります。

exeのプロパティから、互換モードを設定すると、およそ16〜25ms程度の遅延が発生しました。
互換モードは設定せず、
・管理者権限にて実行。
または
・LR2本体のフォルダ(サブフォルダ含)に対してUsersにフルコントロール権限を与える。
以上のどちらかにより、遅延回避しつつ動作を損なわないことが可能であるようです。

※XPから移行した環境の場合、上記の対応を行わないとIRフォルダ以下にランキングファイルを保存できなかったり、
スコア保存ができない場合があります。

2.音遅延対策

WASAPIを使っている方、または「FMOD Exを使用しない」にチェックを入れている方、
それで遅延が解消されたと思ってるとしたら、それはプラシーボ効果です。
まずは「FMOD Exを使用しない」のチェックを外してください。

2.1.FMOD Exを使用する(チェックオフ)

FMOD Exを使用する場合は、Direct Sound、ASIO、WASAPIから出力方法を選べますが、
Creative ALchemyが使えない環境ではASIO一択です。

2.1.1.ASIOの場合

LR2 Setup上からASIOの遅延は設定できません。
バッファ数は無視されます。
ASIOの遅延はASIO caps等で設定できます。
デバイスによって設定のしかたが違います。 ASIOに対応していないデバイスの場合、ASIO4ALLを使用することになると思いますが、
再生しようとするとLR2が落ちる曲(というかBGA)が存在します。使用には十分注意してください。
参考:LR2での動画BGA再生を支援するページ(ASIO4ALL&FMOD EX使用時のみ、一部の動画BGAの再生が途中で止まる)

2.1.2.Direct Soundの場合

2.1.2.1.一般的な場合
Windows Vista以降のDirect Soundはソフトウェアミキサによるエミュレートになりました。
ソフトウェアミキサは26ms程度(バッファ数320程度)の遅延が発生します。
※バッファ数320未満だとプチノイズが入ります。
ASIOを使いましょう。
2.1.2.2.Creative ALchemyが使える場合
Creative ALchemyが使える環境では、DirectSoundのハードウェア支援を有効にできます。
2.1.2.2.1.Creative ALchemyの設定
Creative ALchemyの設定が、実際の遅延時間になります。
Creative ALchemyではバッファを2〜10、時間を5〜50の間で設定できます。時間の単位は明記されていませんがミリ秒です。

Creative ALchemyの遅延時間は以下の計算で求めることができます。
Creative ALchemyの遅延時間 = バッファ * 時間
例)バッファ=2、時間=5のとき、2 * 5 = 10ms遅延
2.1.2.2.2.LR2の設定
LR2のバッファ数は以下のように設定します。
LR2のバッファ数 = Creative ALchemyの時間 * 1.2 * 12
例)Creative ALchemyの遅延時間が5の時、 5 * 1.2 * 12 = 72なので、72を設定します。

2.1.3.WASAPIの場合

LR2のWASAPIは共有モードのため、遅延を解消する効果はありません。
カーネルミキサーを経由しますし遅延もします。
ASIOを使いましょう。

参考:楽しいハック講座 (4) Windows7 オーディオアーキテクチャの概要
https://twitter.com/tbstk/status/33958102776823808

2.2.FMOD Exを使用しない(チェックオン)

FMOD Exを使用しない場合は全ての設定が無効となり、強制的にDirectSoundになります。
※LR2のログ出力にて確認
遅延に関する設定は行えず、バッファサイズはハードウェアの規定値が適用されるはずです。

2.3.補講:その他の遅延要因

2.3.1.OSとサウンドデバイス

オーディオI/F系デバイスの評価は、AV Watch - 藤本健のDigital Audio Laboratoryが参考になります。



2.3.2.PCから出力したあと

音の出力が遅延する原因となるのは、PCの設定やPC周辺のサウンドデバイスだけではありません。
以下のようなものを通して音を出力している場合、遅延する可能性があります。

要因理由
AVアンプ AVアンプに接続し、イコライザやエフェクトをかけて出力している場合、
AVアンプ内部のデジタル回路で処理を行ってから出力するため、遅延する可能性があります。
ソースダイレクトで出力すると、解消されるケースが多いです。
テレビ 映像出力の遅延と同期させるために、わざと遅延させるケースがあります。

3.入力遅延対策

この部分で遅延が起こると、映像・音声の両方で遅延が起こっているように見えます。 積極的に解消していきましょう。

3.1.コンバータ

1P用コンバータを使いましょう
DP時は1P用コンバータを2つ用意しましょう

サンワサプライのコンバータがレスポンス高いですが、空打ちPOORが多くなるとの報告もあります。
エレコム製コンバータの新パッケージも、サンワサプライ製コンバータと同等の性能のようです。
参考:第三科学研究所 - 連射速度の限界に挑戦!第十四回 エレコム JC-PS101U、JC-PS201U新旧パッケージ品比較調査

USBのポーリングレートを高めると、レスポンスが向上しますが、自己責任で。
やりかたを自分で調べられない場合は、行わないのが懸命です。

3.2.垂直同期OFF

注意!この項目は、現状の動作から内部処理を予測して記述しているため、確実性に欠けます!




ボタン入力状態のチェックが、描画のタイミングと同期しているため、垂直同期をOFFにすることで、入力遅延の解消が期待できます。